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Lobby Nakayama

中野ブラザーズヒストリー Vol.19~夢のラスベガス編②初めての飛行機にドキドキ~

日本を代表する #タップダンサー #中野ブラザーズ の昭和の芸能界を彩り、駆け抜けた栄光の軌跡を紡いでいきます。

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こんな大きな機体が本当に人を乗せて空を飛ぶのか。


1959年7月5日、初めて乗る飛行機に、頭では理解していたが、実際の飛行機を見ると信じられないという気持ちになった。

乗り込んだ飛行機はジェット機ではなくプロペラ機だった。プロペラが勢いよく回転して機体が走り出すと、フワっと浮き上がりあっという間にテイクオフした。

飛行機はアラスカのアンカレッジで給油をして再び飛び立った。次に着地するのは夢にまで見たラスベガスだ。二人は興奮気味に窓の外の夜空をずっと眺めていた。

その時、夜空の闇に鮮やかな炎が浮かび上がった。

よく見ると4機あるプロペラの1機が火を噴いていた。それが普通なのか故障なのかわからず、暗いから炎が見えるのかね、などとのんきに話していると、回転しているプロペラが止まった。

これはプロペラの故障だ!同乗者もザワつき始めた。このまま墜落か…。

その時「左右に2機ずつあるプロペラの右の1機が止まりました」という機内アナウンスが流れた。それはそうだ、目視でも止まっているのがわかる。

その後「左のプロペラも1機停止してバランスを保ちながら航行します」というではないか。プロペラは2機でも十分に飛べるという流ちょうなアナウンスに全員胸をなでおろした。

やがて夜明けが近づき、少しずつ空が明るくなってきた。

そうだ、もうすぐラスベガスだ!

到着時には現地のマスコミが集まっているので、一行は全員着物に着替えて着陸を待った。

徐々に砂漠の中のラスベガスのビル群や空港が見えてくる。

飛行機は着陸態勢に入り、プロペラ音が静かになったと思ったら、ものすごい振動とともに滑走路に到着、機内は喜びの歓声に包まれた。

さあ、夢に見たラスベガス!ドアが開きタラップを降りると、新聞社のカメラが、しきりにフラッシュをたいて撮影している。

ハリウッドスターさながらにタラップを降りなから手を振った。スターになったような気分で、嬉しくて飛行機でのトラブルなどすっかり忘れていた。

ホテルまでの送迎バスに乗ると、見渡す限りの砂漠の中にホテル群が見えた。近づくと、ホテルの前の大きな看板には、ビッグスターの名前が並んで書いてあり、まるで夢を見ているような気がした。

ニューフロンティアホテルに到着すると《HOLIDAY IN JAPAN》という大きな看板に出迎えられた。これから中野ブラザーズが出演するホテルである。

飛行機も到着時の歓迎もビッグスターの看板も、ふわふわと夢見心地であったが、この看板を見た時に、盛大に送り出してくれた江利チエミさんや美空ひばりさんや母のためにも「よし、やってやるぞ!」と身が引き締まる思いがした。


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